シンポジウム

東京都は、サーキュラー・エコノミー(循環経済)への移行を進めるため、資源循環に関する最新の政策や先進事例を紹介する「サーキュラーシンポジウム」を開催しています。

開催概要

 「サーキュラーシンポジウム」を令和8年8月6日(木)に、大手町プレイス ホール&カンファレンスで開催しました。令和8年度は、環境省、環境省関東環境局、東京都、公益財団法人東京都環境公社、3R・資源循環推進フォーラム共催による「第2回資源循環自治体フォーラム」とあわせて開催されました。
 自治体・事業者等の連携や地域課題の解決、新規ビジネスの創出の機会として、自治体・事業者等による先進的な取組事例の情報共有を行うとともに、資源循環のテーマごとに参加者同士の意見交換を行いました。

日時令和8年8月6日(木曜日)10時00から16時30分まで
場所大手町プレイス ホール&カンファレンス
(千代田区大手町二丁目3番1号 大手町プレイス(イーストタワー)1階・2階)
共催環境省、環境省関東環境局、東京都、公益財団法人東京都環境公社、3R・資源循環推進フォーラム
参加者数1,062名(現地603名、オンライン459名)

注目セッション

第三部 個別テーマセッション5「ゼロウェイストオフィスの創出に向けて」 

 東京都はサーキュラーエコノミーの社会実装に向けて先進事業者の支援を進めています。一方で、オフィスビルにおける資源循環の取組は、依然として個別事業者やビル単位にとどまっており、特にオフィス由来のプラスチックについては多くが焼却処理されています。
 本セッションでは、東京のみならず全国のオフィスビルにおける資源循環の取組をさらに前進させるための方向を見出すことを目的として、企業や自治体等による先進的な取組事例を紹介しました。あわせて、オフィスビルのゼロウェイスト化や資源循環を進める上での課題、個別の取組をビルやエリア単位へ展開するために必要な条件、行政に期待される役割についてファシリテーターの古澤康夫氏(東京サーキュラーエコノミー推進センターアドバイザー)と参加者とで意見を交わし、今後の展開の方向性について理解を深めました。

第2回資源循環自治体フォーラム 第三部 個別テーマセッション(5)アーカイブ映像

<事例紹介>

(1)株式会社みずほフィナンシャルグループ サステナビリティ企画部 川端 幹子 氏

 川端氏は社員参加型ワーキンググループ〈みずほ〉まるごとSXプロジェクトから生まれた、廃棄物量削減と社員参画に係る取り組みを紹介しました。本社内カフェのリユースカップ導入(利用率約95%)や、サブスク型ウォーターサーバー導入・マイボトル活用によりプラスチック廃棄量を削減しました。併せて、IT機器の手解体リサイクルによるトレーサビリティ確保や、社員食堂での売れ残り防止による食品ロス削減にも取り組んでいます。
 また海外拠点向けには、各拠点でのパイロット実施による共通課題と示唆をまとめたプレイブックを発行しました。
 ゼロウェイストオフィスの実現に向けた課題として、建屋ごとに抱える背景の違いやリユース推進に向けた衛生管理の必要性を挙げました。

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(2)日鉄興和不動産株式会社 都市事業本部運営技術部運営管理第一グループ
   兼 企画本部経営企画部サステナビリティ推進室 グループリーダー 納 章太 氏

 納氏はテナントに廃棄物問題を自分ごととして捉えてもらうことを課題として挙げ、地域との協働による参加の輪の広がりが社員一人ひとりの行動変容を促し、それが会社全体の変革へとつながると述べました。
 本社周辺の事業者や入居テナントで編成された赤坂・虎ノ門サステナブルシティコンソーシアムでは、社を超えて楽しみながら取り組める情報交換会や部活動を企画しています。
 また、同社では、食品廃棄物由来の堆肥で栽培したネギの自社利用による循環モデルの構築、洗浄機導入によるマイボトル利用の定着、入居テナントに対する分別方法やリサイクルの考え方の周知等に取り組んでいます。今後は廃棄物の一元管理システムを導入し、同社の課題を抽出したいと説明しました。

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(3)株式会社ヴォンエルフ サステナブルコミュニティ ユニットヘッド 中山 諒二 氏

 中山氏は、廃棄物を発生させない仕組みや資源循環のマネジメントに対する国際認証「TRUE認証」を紹介しました。「TRUE認証」は、ゼロ・ウェイスト方針の策定や廃棄物の転換率90%以上等6つの必須要件を満たした上で、81の加点項目の達成状況を、ゼロ・ウェイスト国際連盟の定義に従い第三者機関が評価します。加点項目には、分別しやすい仕組みへの再設計や廃棄物監査、テナントを含む全利用者の参画等があります。
 認証の取得により、自社取組の客観的な評価ができ、廃棄物削減・資源循環に向けた改善を体系的に行うことができます。
 オフィスビルでの認証取得の課題には、ビルオーナー、管理会社、テナントの連携や廃棄物データの収集・見える化等が不可欠であることを挙げました。

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(4)株式会社Circloop 代表取締役 中村 周太 氏

 中村氏は同社が提供するリユーザブル容器サービスを紹介しました。カップの洗浄・配送・回収から環境負荷の削減効果を可視化するダッシュボードの提供を一貫して行っています。同社のサービス導入事業者では、使い捨て容器の廃棄物を100%削減し、GHGを月間71%削減しました。
 また、利用者の2/3が環境への意識や行動が変わったと回答しました。さらに導入事業者が自社ウェブサイトで活用を紹介するなど、サステナブルな取組のPRにも繋がっています。
 課題として、導入事業者が異なるビルに点在することによる非効率さ、環境配慮よりもコストが重視されることを挙げ、本サービスが会社の価値向上や従業員の意識改革に貢献することに繋がると述べました。

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(5)レコテック株式会社 野崎  衛 氏

 野崎氏はオフィスの資源循環を妨げる課題に、各事業者の取組把握に必要な集計・報告作業が煩雑であることを挙げ、手段として見える化することの重要性を紹介しました。
 廃棄物の資源価値を高めるには安定的な量の確保が重要なため、データ標準化による共創が求められます。デジタルインフラ「pool」では自治体や事業者が所有する複数拠点の廃棄物データを一元管理するモニタリング体制を構築し、データを活用した回収ルート等の最適化を実現しています。
 また事業者間の競争や取組の改善には成果を対外的に示すことが必要であるため、各テナントや社員個人に紐づけた排出データの見える化に取り組んでいます。
 今後は、廃棄物データの一元化が社会にもたらす効果の可視化に取り組むと述べました。

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(6)千代田区 環境まちづくり部 ゼロカーボン推進担当部長 水谷 努 氏

 水谷氏はゼロカーボン・ゼロウェイスト・ネイチャーポジティブを掲げる千代田区の計画と取組を紹介しました。同区では、カーボンニュートラルのみならず資源循環の観点も含む都市型の地域連携モデル策定に向け、簡易に参加できる独自のマネジメントシステムを創設、地方の連携自治体で発電された再生可能エネルギー「Eサイクルちよだ」を推進するほか、中小企業の主体的な参画を得て伴走支援と相互連携を図る「ちよエコ未来企業スクール」、環境課題を持つ事業者と区内の大学が連携した「ちよエコナッジ共創ラボ」を開始するなど、地域や民間企業と連携した取組を進めています。
 課題として、先行するカーボンニュートラルの取組をゼロウェイストへ波及させること、夜間人口7万に対し昼間人口90万の同区におけるオフィスごみ対策の難しさを挙げました。

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(7)公益財団法人東京都環境公社 環境共生部東京サーキュラーエコノミー推進センター長 小川 潤 氏

 小川氏はゼロウェイストオフィスの創出に向けた東京都による支援策、東京サーキュラーエコノミー推進センター(T-CEC)の取組である「3Rアドバイザー」による訪問先でのアドバイスの事例やアドバイスを受けたお客様の声、TOKYO 3R診断ナビ(オンラインツール)の活用による事業系廃棄物の3R促進を紹介しました。
 また事業者のサーキュラーエコノミーの社会実装や移行に係る補助事業、サーキュラーエコノミーに係る情報発信や、事業者間連携の支援や補助事業の紹介を行う相談・マッチング等を実施しています。
 課題には、3Rアドバイザーの活用を促進する広報や事業者間連携を更に支援する仕組み作り、消費者側の行動変容を促すための情報発信の強化を挙げました。

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<参加者同士の意見交換>

〇論点1 排出側での課題

 オフィスビルの参加者からは、ビルが複合化されることでリサイクル率が下がる傾向があり、特に排出量が多い弁当ガラの取扱いの検討や、プラスチックのサーマルリサイクルからの脱却が必要であることが課題として挙げられました。
 また、リユーザブルカップの利用率向上に取り組む団体からは、カップの衛生基準は既存の飲食店での衛生基準を参考に、自主的なガイドラインが設定されていることが説明されました。カップの導入に向け、利用者に衛生管理が行われていることを伝える重要性が指摘されました。
 トップの意向がある中、社員による取組推進をいかに進めるかという議論においては、ボトムアップによる取組事例を紹介したみずほフィナンシャルグループと日鉄興和不動産から、トップにも一個人として、自分事として感じてもらうことが重要であるとの提案がされました。

〇論点2 リユース/リサイクルに関する課題

 廃棄物の収集運搬を担う事業者から、個々のエリアで少量の廃棄物の依頼を受けることによるデメリットが説明されました。排出されるプラスチックが少量であるために、紙と一緒に焼却の上、サーマルリサイクルされる実態を紹介し、近隣のビルとの連携ができればコストの削減になるものの、協力が難しい現状が浮き彫りとなりました。

〇論点3 行政間の連携の重要性/行政の役割

 千代田区はモデル事業による成功事例の創出が、行政の役割として大切であると示しました。
 その他の参加自治体からは、事業者に対する分別指導の際、分別の重要性が社員にまで伝わらないケースがあることが現場の課題として挙げられました。また、事業者が自治体に期待することを知りたいという声もありました。

 
 以上のような議論から、テナントの経営層がゼロ・ウェイストの取組へコミットメントすることの重要性や関係者間の連携促進、取組をビル全体からエリア全体、ひいては東京から全国に広げることが重要であるとの結論に至りました。

プログラム

第一部
(10:00~11:00)
開会挨拶
・環境大臣 石原宏高
・東京都知事 小池百合子
基調講演
・東海大学学長補佐・政治経済学部経済学科教授、慶應義塾大学名誉教授、中部大学理事・名誉教授 細田衛士
・環境省環境再生・資源循環局長 角倉一郎
第二部
(11:00~12:30)
・循環経済に係る国の最新の政策について
 内閣府(地方創生)、消費者庁、総務省、農林水産省、経済産業省、国土交通省

・一般社団法人日本経済団体連合会
 環境エネルギー本部長 池田三知子 氏

・株式会社日本政策投資銀行(DBJ)
 サステナブルソリューション部長 布施健 氏

・株式会社脱炭素化支援機構(JICN)
 代表取締役社長 加藤裕幸 氏
第三部
(13:30~16:30)
個別テーマセッション
8部屋に分かれて、個別のテーマごとに先進的取組の紹介及び意見交換を行いました。

(1)プラ回収・再商品化の推進
   日本国内でのプラスチック資源循環に向け、現状・課題・今後の施策の方向性について
   環境省/荒川区/鹿島建設株式会社

(2)金属資源・重要鉱物のリサイクルの推進
   日本国内における金属資源・重要鉱物のリサイクルの現状や先進的な取組について
   環境省/福岡県/東京エコリサイクル株式会社

(3)太陽光パネルのリサイクル等の推進
   太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律について
   太陽光パネルのリサイクルに係る先行的な取組とビジネスチャンスについて
   環境省/福島県/株式会社浜田

(4)リユースの推進(ファッション含む)
   使用済み製品等のリユース及びサステナブルファッションの推進に関する最新の動向や、先進的な取組について
   環境省/経済産業省/横浜市/株式会社オフィスバスターズ/株式会社マーケットエンタープライズ

(5)ゼロウェイストオフィスの創出に向けて
   都市において重要となるオフィスビルでの先進的な資源循環の取組と今後の展望について
   東京都/千代田区/株式会社ヴォンエルフ/株式会社Circloop/公益財団法人東京都環境公社/
   日鉄興和不動産株式会社/株式会社みずほフィナンシャルグループ/レコテック株式会社

(6)リチウムイオン電池等の適正処理の推進
   リチウムイオン電池等の火災防止対策や分別回収体制構築等について
   環境省/守谷市/松田産業株式会社

(7)家庭ごみの分別回収の推進
   地域での持続可能なごみ処理システムの構築について(ごみ減量、バイオマス系廃棄物など)
   環境省/鹿嶋市/葉山町/ティーエムエルデ株式会社

(8)食品ロス削減・食品リサイクルの推進
   サーキュラーエコノミーの実現に向けた、食品ロス削減・食品リサイクルの優良な取組の推進や横展開、
   フードバンク認証制度の活用について
   消費者庁/ネッスー株式会社/ワタミ株式会社

ブース展示・参加者交流
登壇者をはじめとする自治体・事業者等のブース展示が行われました。

過去に開催したシンポジウム

‐令和7年度の開催

「家庭から出るプラスチック・リサイクルの推進に向けて」

基調講演  
  「家庭から排出されるプラスチックのリデュース・リユース・リサイクルの取り組みの方向性」 
  国立研究開発法人 国立環境研究所 資源循環領域(資源循環社会システム研究室) 室長 田崎 智宏 様
企業や団体の取組事例
  – クリーニング店の「ビニールカバー」の巻~ビニールカバーがエアクッションに!?~
  – 1人あたりのごみ量が最も少ない「日野市」の巻 ~多摩地区ワーストからNo.1へ~
  – 一番多い粗大ごみ「布団」の巻~ごみから資源に新たなチャレンジ~
  – リサイクルの優等生「衣装ケース」の巻~老舗企業のタッグによるマテリアルリサイクル~

‐令和6年度の開催

「オフィスにおけるプラスチック資源循環ソリューション」

基調講演  
  「オフィスプラにおけるプラスチック対策ことはじめ」 
  総合地球環境学研究所 教授 浅利 美鈴 様
企業や団体の取組事例
  – 累計利用15万回突破!シェアオフィス「ワークスタイリング」へのリユースカップサービスの導入
  – 芝浦から世界へ!行動変容の仕掛け満載「マイボトル利用促進プロジェクト」
  – 社内リソースを最大限に活用!リユースカップ運用の裏側公開
  – ごみ袋や商業施設のデッキプレートに変身!オフィスプラのマテリアルリサイクル

‐令和5年度の開催

「サーキュラーエコノミーにはリユースがかかせない!!」

基調講演
  「日本版サーキュラーエコノミーとリユース – 経済学の視点」
  東海大学政治経済学部経済学科 教授 山本 雅資 様

企業や団体の取組事例、リユースの普及に向けた取組
  – リユースプラットフォーム「Loop」
  – 容器のシェアリングサービス Re&Goの実績とこれからについて
  – リユース革命を起こす – リターナブル包装の拡大
  – リユース推進のために私たちができること

– 令和4年度の開催

特別講演
  – ネットゼロ社会実現のための水平リサイクル
  – 『パートナーシップで循環経済を実現しよう』~官民連携で取り組むヒント~
事例紹介

「プラスチック資源循環の近未来:ソーティングセンターを核とした水平リサイクルの可能性」(令和5年3月)

東京都は、国内外の様々な高度マテリアル&ケミカルリサイクル技術を紹介し、近未来のカーボンニュートラルなプラスチック資源循環の姿を展望するため、プラスチック容器包装リサイクル推進協議会と連携して、オンラインシンポジウムを開催しました。