革製ファッションアイテムの製造・販売を手掛けるヘリテッジ株式会社(東京都渋谷区)は、ヴィーガンレザー(植物性由来レザー)で製造された自社ブランド「CRAFSTO」のバッグやファッション小物を展開しています。このたび、渋谷区内の大型商業施設でポップアップストアを初出店した同社のクリエイティブ・ディレクターの久保雅子さんに、ヴィーガンレザーアイテムへの思いやお客様の反応などについて伺いました。
――ヴィーガンレザー(植物性レザー)とはどのようなものですか?
革製品には、アニマルレザー(動物性レザー)と合成皮革があります。新しいカテゴリーの一つとして、最近植物性由来レザーが各国で登場しています。植物性由来レザーは、原材料としてサボテン、リンゴの皮や芯、トウモロコシの殻などが使用されます。植物原料を分解して環境に配慮されたポリウレタン樹脂と合わせることで、まるで本物の革のような質感を再現しています。
――なぜヴィーガンレザーを製品化するようになったのですか?
私は子供の頃からファッションが好きで、これまでにたくさんの服やバッグを買ってきました。それが今の私の土台になっていることは間違いないのですが、近年では環境負荷の高い産業としてファッション業界は取り上げられる事も多いです。そんな中で、サステナブルな素材や過程を辿って作られた製品作りを当たり前のアクションの一つとして取り組めたらと思いスタートしました。
――どのような製品ラインナップがありますか?
女性のお客様には、廃棄される予定だったりんごの皮や芯などをアップサイクルして作られたアップルレザーの製品がとても好評です。また、メキシコで生産されたウチワサボテンを使用したサボテンレザーは傷や水にも強く、機能的な面でもご好評いただいております。今回のポップアップストアでは、「今まで持っていたアイテムをすべてヴィーガンレザーに切り替えたい」、「これからは環境に配慮した買い物を楽しみたい」と言って、バッグとキーケースを纏めてご購入下さったお客様もいました。
――革製品は長持ちするという点で、サーキュラーエコノミーを体現しています。
ヴィーガンレザーの中でも、お客様が大切に長く使えることを重視して素材を集めています。サボテンレザーは、大切に使用すれば10年持つ素材と言われています。アップルレザーは耐久性5年以上、キノコとトウモロコシレザーは3年以上を目安とされている素材を採用しました。サボテンレザーは湿気を気にせず持つ事が出来て、お手入れもイージーケアで済むのも魅力の一つです。天然の雨水だけで育てているサボテンから作られており、採取してもまたそこから生えてくるので、まさに循環しているなと思います。
また製品にプリントする際のインクに関しても、人体に対して有害性の少ないインクを使って持続可能な未来に配慮しています。
――今回初めてポップアップショップを出店しましたが、お客様の反響はいかがでしたか。
渋谷ということもあってか、インバウンドのお客様にも喜びの声を頂くことが出来て嬉しいです。現在、海外はECサイト中心ですが、将来的には海外でもポップアップショップをやってみたいですね。
日本の職人さんの繊細で緻密なモノづくりのポテンシャルは高いと感じています。私たちのゴールとして、日本発信の製品でサステナビリティが日常の中の当たり前として溶け込んで頂けたら嬉しいです。